時評:退行現象と過渡期の春。
  季節は三寒四温。桜咲くのかな?まだなのかな?とじれったい季節ですね(昨日と同じかよ!という突っ込みはしばしお待ちを)。四季の移ろいを人工言葉で表するのは不届き千万なことだと思いますが、話を繋げるために、季節は、春という過渡期にあるのでアル」と放言してみます。

  閑話休題。社会は過渡期にあるようです。
 過渡期とは?手元の「新明解 国語辞典(第二版)」(三省堂)で引いてみると

物事の移り変わりの最中で、これでいいというものが定まらない混乱の時期

  と定義されています。移行期で価値観の絶対軸が動揺してしまっている状態、ということですね。

  さて、本日(3月30日)の日経産業新聞に次のような記事が掲載されています。

野村不動産は社内のノート型パソコンを減らし、デスクトップ型への切り替えを進めている。(中略)個人情報が入ったノート型パソコンを社外で盗まれたためだ


  デスクトップPCだと持ち歩けないから、社外で盗まれる心配がないという発想ですね。4月1日に施行される個人情報保護法を受けての処置だと思います。他にも、私の知人が勤務する会社では、個人のパソコン端末でインターネットに接続できないような緊急処置が施されたという話も聞きました。業務上、ワールドワイドなインターネット情報を必要とするときは、社内ネットワークからは独立した専用端末で情報を取得するという運用のようです。
  
  時節柄とはいえおもしろい現象ですね。持ち運びの利便性を生かすために、ノート型パソコンが生まれ、技術者が額に汗し努力して、ひたすらに軽量化を目指していたパソコン。しかしここにきて、バカデカパソコンなら、持っていけないだろ?盗まれないだろう!という一種原始的なトンデモ防衛策。そしてインタネット接続不能化。世界中の情報がリアルタイムで見られるのは便利だけど、情報が漏れてしまうくらいなら、いっそのこと回線切ってしまおうや!国交断絶だ!という、これまた奇想天外な対処法。いずれの方策も時代(正確には技術進歩)に逆行する流れですね。ドッグ、ドッグとドッグイヤーで走ってきて、ちょっと疲れたから休もうやという表れなのか、微笑ましいです。

  情報漏えい対策以外にも過渡期の無茶はあります。日経金融新聞3月29日に「究極の防衛策は非公開化」というコラムが掲載されていました。それによると、株式を公開する意味は「新株を発行して機動的に成長資金を調達するインフラを得ること」である。しかし、一方で「市場の原理」に晒されてしまい、会社の土台たる(もちろん従業員が一番の土台だと思いますが、ここでは資本制度上の土台に限定)株式が不特定多数の人間間で売買されるゆえに、会社が砂上の楼閣となってしまう危険性がある。そこで、機動的な資金調達とやらはもういいから、鎖国しちまおうぜ!ということが最大の防衛策であると論じているのです。

  このように、社会がさまざまな局面で価値観の不安定な過渡期であり、現在のトレンドは鎖国化にあるようです。ドッグイヤーからマウスイヤーへの更なる高速化の時代。疲れた現代人を神様さんが哀れに思って、ちょっとばかりゆっくりしたらどう?と優しく声をかけてくれているのかもしれませんね。

p.s.
「この時代は過渡期であったのだ」という後付けの分析がありますが、生活している人間にとっての「現代」は、いつの時代においても、価値観の不安定な動的な時間だと思います。

また本文で述べた「鎖国」トレンド、あくまで社会システム上での退行現象であり、私たち個々人としては、幅広く好奇心豊か前向きに動きたいものですね(自戒を込めて)。季節は、移り変わりの最中で、新しいことが起こるかもしれない「過渡期」の春です。
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by keroyaning | 2005-03-30 18:44 | 社会
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