書評:輪島功一「この道」(仮題)~ボクサーの文才を侮るな!!
c0072240_12541021.gif  ♪僕バンクロックが好きだ 優しいから好きなんだ♪
  と、ヒロトがTHE BLUE HEARTSで叫んだ情熱には、敵わないかもしれませんが。私は、ボクシングが好きです。後楽園ホールで観るボクシング、あるいはテレビで観戦するボクシング。もちろん大好きですが、ボクシングを題材にした小説やマンガも大好きです。そして、ボクシングのノン・フィクションも。
  ここまでで、何回「ぼく、ボクシングが好きだ」を連呼したかわからないくらい大好きです。そんな私の前に、ボクサーの自伝が登場しました。今日は、こちらをご紹介しましょう。


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  私の購読している東京新聞夕刊に、「この道」という連載コーナーがあります。功なり名を遂げた偉人たちが執筆する「あの頃の思い出」コーナーという位置付けでしょうか?しかし、一人で一年程度、毎日書き続けるという長期ハードロードの連載です。日経新聞「私の履歴書」と同等かそれ以上の中身の濃さを誇っています。

  現在、執筆しているのは元ボクサーの輪島功一氏。世界タイトルを六度に渡り防衛した記録も素晴らしいですが、「カエル跳びアッパー」は当時リアルタイムで接した人々の記憶にも残っているそうです(会社のおじだん談)。これが、とにかく面白く、そして暖かい。例えば、試合に敗れタイトルを奪われた連載第71回から引用すると、

>会長の声を聞いて、うなずいて目を閉じました。
>それからしばらく、記憶がないんだな。
>意識を取り戻したのは、頬に柔らかい感触を感じたからでした。
>女房の多生代が、一歳八ヶ月になった長女の大子を連れてきて、キスさせたんだ。
>そのときだね。素直な言葉が出たのは。
>「大丈夫。でも、みんな終わったよ」
(中略)
>女房は、「今度こそ引退」と信じたらしいです。
>優しい声で「おとうさん、良かったね」と言いました。
>これで、もうつらい練習も減量もしなくていい、というねぎらいの言葉です。
>本当によくできた女房だよな。

  思わず、涙腺が緩んでしまいました。引用部分は、試合の模様ではないですが、戦いに敗れた後の悔しさ、そして静かな部屋での家族との再会。愛情豊かな男意気が感じられます。
  引用ばかりで恐縮ですが、試合の模様が昨晩の連載で、ばっちりありましたので引用させていただきます。敗戦したあとのリベンジ戦での模様です。

>「流れをつかむ」とか、「流れを引き寄せる」とか、そんな言葉を、私はよく使います。
>ボクシングの試合を勝つ上で、これほど重要なことはないんだな。
>15回を組み立てるときに、私は序盤の3回までに自分の力の7割までを使います。
>ここで圧倒して、相手の出鼻をとことんくじく。
(中略)
>勝ちたかったら序盤で力を出すんだ。
>それができるのも勇気だよ。
>残りのラウンドは、どうするか。そう、頑張ればいいんだよ。

  むん!戦いとはかくあるべきなのか!そんじょそこらの経営者諸氏のエッセーからは、窺い知れない哲学を感じます。秋の長雨にうなだれている私に、毎日元気をくれる連載モノです。

  汝、ボクサーの文才を侮るべからず。

p.s.
登山家の文才には定評があります。
先日書きました植村直己氏しかり小西政継氏しかり。
いずれも鬼籍に入られていますが、彼らの精神は文章で受け継がれています。

書物とは偉大なものですね!!

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どうもありがとう御座いました!!
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by keroyaning | 2005-10-08 12:43 | 書評
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