テクニカル旋風vs.疾風怒濤:滋賀県は野洲からレヴォリューション


野洲高校のサッカーは、ブラジルのサッカーを見ているようですよねえ!!!
                              
                             日本テレビのアナウンサー


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   2005年末から始まったサッカー第84回全国高校選手権の決勝戦の中継で、アナウンサーは、興奮のあまり、彼我なるブラジルサッカーを例えに出した。私が冷静であったならば「頭おかしいんじゃね?(失笑)」と、一人孤独にテレビに対して、突っ込みを入れるところであった。だがしかし、興奮していたのは、かのアナウンサー氏だけではなく、私も同様に、いやそれ以上に興奮していたのである。


  2006年1月9日成人の日。日本各地で、もはや新春の季語と化した「荒れる成人式」が執り行われていた。その同時間帯であろうか?サッカーの聖地国立競技場では、大会二連覇を目指す鹿児島実業に対して、滋賀県勢初の優勝を目指す野洲高校が対峙していたのだ。

  野洲高校の戦い方を振り返ってみよう。高校サッカーの代名詞たる国見高校を破った大阪朝鮮高校を準々決勝PK戦の末辛くも振り切り、準決勝は拾ってきた外国人をFWに据えた多々良学園を打ち破っての決勝進出である。
  彼らのサッカーは、クリエイティブ・サッカーと評される通り、なにしろテクニカルである。ナニがなにしろなのかというと、的確にショートパスをつなぎ、サイドからの華麗なドリブルテクニックでディフェンスを抜き去る美しさ。彼らのドリブル一人抜きなんて、日常茶飯事の当たり前、目新しくもなんともない。二人抜いて「ああ、上手なものだね」、三人抜いてようやく「おお、ビューディフル!」と思わせるドリブルセンスである。
  当たり前といえば、ヒールパスも三度の飯を食らうくらい当たり前。ディフェンスを四人くらい引き付けておいてのヒールパス。スローモーションを見ているかのように、あまりにさりげなくやられるものだから、ディフェンダーの中には、「はて?ボールは何処へ行ったのだろうかね?」と、頭を抱え込む相手選手もいたくらいだ(ちょっと大袈裟ではあるが)。
 
  しかし、テクニカルというと嫌なことを思い出す。既に死語になっている感もあるが、あの悪名高きゴールデン・カルテット。すなわち、日本代表の中盤を占める中田、小野、稲本、中村が、華麗なるパス回しを披露したあの"カルテット"(笑)だ。なにしろパス回しである。皿回しではないパス回しであるが、現実的には皿回しに限りなく近いパス回しであった。彼らの目的は、パスパスするパス回し芸であろうかね?と思わせるほどに、相手を右往左往させるパスを披露して、痴呆的なニヤニヤ薄笑いしている気持ち悪さ。彼らは、ゴールに向かわず、孤立したるはフォワード陣。サッカーは、パントマイム芸術ではないのだぞ!

  それに対して、野洲高校は、テクニカルでありながらゴールへ向かう。自陣からのカウンター攻撃で、あまりの展開の速さに、味方が誰も追いつかない状況でも、ただ一人ドリブルで切り込み、最後はシュートを放つ。あるいは、ゴール前でショートパスに興じながら、常にゴールをうかがい、隙あらばシュートを放つ。数的優位な状況下の敵陣で、バックパスを出す、あるいは、キーパーと一対一になりながら、パスを出してしまう恥さらしなる日本代表は見習うべきであろう。



ちょっと、熱くなりすぎた・・・閑話休題。



  一方の鹿児島実業高校。プレースタイルは王道正統派だ。夏合宿の走りこみは、凄惨を極める(解説者"今は何処に?"前園元日本代表談話)というが、それを乗り切ったという自信と体力が、冬の大会での活躍の原動力(文字通りエンジン)となる。基礎体力強化を中心タスクと据えた彼らの戦いは、自ずから泥臭いまでの前線からのプレスであり、フィールド狭しに勇躍と走る質実剛健なるスタイルである。そして、ボールを持つ相手選手を数人がかりで潰す組織力。野洲監督が、「キックオフから赤い壁の疾風怒涛には気をつけろよ!!」と注意を与えたのも、極めて適切であったと評価せざるを得ない。
 
  これこそが、「青春」であるとの感動を観客に与えるプリミティブな戦い方。私は、野洲高校を応援していたものだが、野洲の幻惑的なドリブルに対して、身体を投げ出して止める彼らの真摯な姿勢に撃たれて、一点ビハインドの局面で、「ああ、このサツマイモ頭(失礼)の朴訥なるチームに、なんとか同点に追いついて欲しいものだよ!」と応援したものだ。

  さて、結果はどうなったかというと、1-1のドローで延長戦に突入して、延長後半終了間際に野洲高校の「集大成」とも言えるゴールが決まり、2-1で野洲高校が優勝した。この場面の映像は、日本サッカー界において、後世まで末永く語り継がれるであろうほどの美しさであった。私の稚拙な筆では、表現すること能わないので、プロの手になる筆を引用してみよう。


左サイドバックのDF田中が右のMF乾に糸を引くような弾道のロングボールを送ってサイドを変えると、乾はドリブルから相手DFをほんろうするヒールパスでMF平原へ。マークを引きつけた平原から中川につなぎ、瀧川のゴールへと導いた。

 


  野洲高校イレブン。彼らの強さ、そして美しさは、野洲高校というチームがあって、初めて表出可能となったものかもしれない。しかし、今後、彼らが「個」として世界で活躍していく時に、是非とも今大会で人々に与えた感動を忘れずにがんばって欲しいものである。

(本稿以上)

06.01.14追記:
下のリンク先で、プロ・スポーツ・ライターさんたちが、
暑苦しいほどに熱く野洲高校サッカーについて語っていますので、ご参考までに。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/hs/84th/column/index.html

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by keroyaning | 2006-01-12 20:12
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